銀座・古美術 祥雲からの展示会情報やお知らせです

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勾玉〜石を身につける 華蔵Vol2より
東京国際フォーラムにて毎年開催される東京アートフェアは国内外から美術商が集まり現代美術、古美術が同時に展示されることで知られています。わたしたちは“Ancient Progressiveness古代の先達”というタイトルで縄文から古墳時代の作品を展示します。最先端のコンテンポラリーアートが数多く展示される中、古代日本美術はどのように映るでしょうか?

勾玉〜石を身につける

Ancient Progressiveness古代の先達”では特に“勾玉”の魅力に焦点をあてた展示を企画しました。勾玉は縄文時代から平安時代まで制作されていました。人々の誰もが持っていたのではなく呪術師(巫女)が首から提げていたとされています。巫女の埴輪の首に丸い玉などと一緒に身につけている様子を見ることが出来ます。

首や胸元を飾るということや美しい石を加工して身につけるということは延々と続いて現在に至ります。時には権力の象徴であり、お守りのような祈りであり、またファッション的な自己表現として、時代や状況によって用途を変えながら、首や胸元を石で飾るという文化は現代に続いています。なにか人間の持つ本能的な意識のひとつなのかも知れません。

度々「勾玉を飾るにはどうしたらいいですか?」という相談をされます。これは長い間私達にとっても課題でした。固定して立たせる台のようなものを作ったこともありましたし、ガラスやアクリルの中に並べるという方法もとりました。また勾玉は光に透かすと石の表情が美しいので、ある美術館の展示で後ろから光をあてたものも見たことがあります。

今回は首から提げるという原点を考え“首飾り”の形にして展示することを思いつきました。どのようなものにするか試行錯誤する中で、おそらく当時は紐のようなものを穴に通して連ねたであろうと試してみました。勾玉の向きが牙のようになるのを見て、やはり動物の歯を模ったのではないかと感じました。

そんなことを考えているとき、ある美術館でネックレスをつけた埴輪を見ました。リボンのような平たい紐の上下にバランスよく玉が並べられていて首の後ろは紐を交差させ飾りのようになっていることに気がつきました。ただ玉を連ねたのではなくてとても気をつかった配列になっているのです。古代の人はおしゃれだったのだと思い、もしも古代に金や銀の鎖があったなら彼らはこんな風に作ったかしらなどと、勾玉や小さな古墳玉、管玉、水晶の切子玉を手に取りながら指でつまんで並べているうちに、すっかり時間を忘れ、なんだか古代の人と対話をしているような楽しい気分になりました。

今回は金や銀の鎖を使い、勾玉や玉に一切直接加工をしない方法で専門の方に十数点のネックレスを製作していただきました。水晶の玉の曇り、いびつな切子の面、どんなに小さなものですらそれぞれの玉はひとつとして同じ形のものがありません。それらが一つの輪の中に揺れる様子を見ていると古代のものとの不思議な縁を感じます。

(関 美香)

*冊子”華蔵”については祥雲のHPをご覧下さい。www.shouun.co.jp